こんにちは、岸田です。
もう5月ですね。平成30年も、もう半分すぎました。私は現在36歳ですが、一昨年ぐらいから年々時間の経過が異常に早く感じるようになりました。笑
まさに「光陰矢の如し」ですね!
さて、「写植」という言葉をご存知でしょうか?今回は印刷文字についてお話いたします。
「写植」…知っている方は、昔から印刷会社と密な関係だった方や、印刷屋さんぐらいしか、もうあまり知らないと思います。
「写植」とは、写真植字という言葉の略称です。すごく簡単に言うと、活字を作る作業です。文字を写真のように撮影し、それを専用紙に出力して活字にするというものです。昔は(と言っても約20年程ですが)一文字一文字、写植して、書籍等は全ての文字を作り、印刷していました。
印字するには「写真植字機」(写植機)という専用の機械を使用します。
写植機(写研パボキング) 当時価格で450万程だそうです。高いなぁ…写真に時代を感じます(笑)
この文字盤を、機械にセットして、文字を転写しています。
印字される感材には主に「印画紙」(家庭用プリンターの写真用紙に近いもの)が用いられ、通常は白い紙に黒い文字として現れます。これを「版下」という印刷原稿の台紙に貼り込み、版下をもとに製版し、印刷します。
写植は基本的に黒い文字と記号のみを扱うことができ、写植機の機種によっては線を引くこともできます。カラー文字や写真のようなものを写植機で打つことはできません。
実際に写植機によって転写する様子
現在はパソコンで文字を打って、そのままプリンターで印刷したり、印刷用のデータに変換し、製版して、印刷していますが、パソコンが普及する前は、印刷するのに、まず活字を写植して、製版し、印刷機で印刷する。というのが、オーソドックスでした。
パソコンの普及は、一般的には約30年前から非常に高価ではありましたが、流通はしており、活字を作ることぐらいは出来ました。ですがパソコンで文字を作ると当時の技術では、一つの大問題がありました。「解像度」という点です。当時のパソコンは印刷することを前提に作られていませんでした。プログラミング、計算、ゲームが主で、文字を作り出力すると、ギザギザで、読みにくいことこの上ありませんでした。そんな文字を印刷するなんて、もってのほかでした。まだ、パソコンに連動した解像度の高い印刷機も少なく、出力はもっぱらワープロが主流でした。
ですが、どんどん技術も進歩し、今までは、手書きなどでしていたデザインをパソコンでするようになり、印刷・デザイン用のソフト「Illustrator」も25年程前から急激に流通し始め、それに伴い解像度の高いプリンターも普及されるようになりました。すると写植の需要も減り、どこの印刷屋さんもパソコンが入り、ダイレクト印刷、ダイレクト製版ができるようになり、さらに減少の一途となりました。
私が現在の印刷屋の仕事を始めた約15年前は、まだ写植屋さんという職業が全国に存在しておりましたが、平成30年現在は写植屋さん一本で生計を立てられている方は日本全国広しといえど、もう一人もいらっしゃらないかと思います。さみしいですね。「写植屋さん行ってきます!」と言って会社を出て、途中でコンビニに寄り道してマンガを立ち読みしたり、喫茶店行ったり、とサボっていたことを思い出します。今は一切しておりません!(笑)
パソコンで文字を作る。非常に簡単で、すぐ出来ますが実はこの「写植」や「活版印刷」(印刷機の種類のお話)には、パソコンの活字には出せない、非常に味のある文字なんです。
それが、デザインや、なんとも言えないインクの「たまり」や。非常にデザイン性に溢れていて、現在は入手困難ですが、活版文字や写植の文字をわざわざスキャンし、データ化して使用されるデザイナーの方もいらっしゃるそうです。
現在では、このようなフォントもあるぐらいです興味のある方はコチラから
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なぜ、古いデザインなのに愛されるのか。なぜ今のフォントは愛されないのか。手間をかけて作るからなのか。どちらかというと私はデジタル世代(使えてるとは言ってません)ですが、古い文字は好きです。なぜなら、割とセンスが問われ、さらにパソコンの文字にはない「雰囲気」があるからです。結局、人が活字を作るので、文字列のピッチや、大きさ、配置も職人の腕次第ということになり、印刷も文字の「潰れ」や「インクたまり」など完璧ではない所の「情緒」があると思います。
今、現在でも先に触れました、印刷・デザイン用ソフト「Illustrator」なんかは、自由に文字列を作り文字の大小、配置は自由です。が、やはり活版印刷や写植屋さんのセンスというのは中々真似出来ませんね。微妙に読みやすさが違うと思います。
それと同じで、弊社でも推奨しています、「手書き印刷」は、パソコンの文字列にはない、人間だけが使える独特の「美しさ」や「温かみ」さらには「感情」まで表現出来るものになります。
どこでも使っていいわけではなく、「使い所」という難しさはありますが…
と、現在では少なくなり、あまり聞かれなくなった「写植」や「印刷文字(活版)」についてお話しさせていただきました。文化や技術の進化とともに減少したり、廃れていくことは世の中にたくさんありますが、伝えていくことも大切なことかもしれませんね。
「古き良き」が、広告や表現のスタンダードになるかもしれないと思い、この印刷文字についてお話いたしました。
では、今回はこの辺で、今回も最後までご覧いただき誠にありがとうございました。
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